長野県佐久市。「軽井沢の隣」と紹介すると、大体の方がどのあたりか認識してくれる、そんなローカルから筆を執っているエハラマサフミと申します。「自分のやりたいことをやりまくる大人がたくさんいることこそ地域活性化だ」という信念のもと佐久地域でコワーキングをはじめ早10年。現在進行形から過去の事、そして未来の妄想など含めて、コワーキングを軸にレポートしていきます。

コワーキングなローカルコミュニティ

さて、今年、僕の中では面白いコワーキングが始まりました。
始まりもメンバーも曖昧な、団体なのかなんなのか。
名前だけは決まって「Route39(るーとさく)」と言います。

Route39

佐久市を横断する国道254号線。
その道沿いに、面白い場がここ数年でいくつもできています。

254号線の東、そろそろ群馬県というところに僕の運営する「うちやまコミュニティ農園」があり、西へむかっていくと「MaruCafe/一棟貸しの宿awai」「芙蓉酒造」、ちょうど中間地点のJR中込駅隣の「TonaRide」、その目の前の中込商店街に「TELT」、コワーキングスペースの「ワークテラス佐久」、そして千曲川を渡った野沢商店街の「喫茶あるいは」。

ちょうど同世代の場を運営するオーナー同士、なんとなく飲み会から始まって、そのうち254号線沿いで面白いことしたいね、なんてことを言い始めたのが発足するきっかけと言えばきっかけだったかもしれません。

うちやまコミュニティ農園

MaruCafe/awai

芙蓉酒造

TonaRide

TELT

ワークテラス佐久

喫茶あるいは

コラボ活動と僕たちの目指すところ

MaruCafeの柳澤零さんの提案で今年8月に合同出店した「小諸青空バル」を皮切りに、上述した「TELT」リニューアルオープン、「ルート」からの着想でパクチーの根と牛蒡で作ったクラフトビールを振る舞うための「タコス&ビール」、そして、ボランティア活動で定期的に佐久に来てくれている学生との交流会などをその時その時参加出来るメンバーで協力しながらやってきました。

小諸青空バル

TELTリニューアルオープン

タコス&ビール

一体あなた達は何がやりたいの?
と言われると、まだちょっと言葉にならない。多分メンバーもそれぞれ言うことが違うと思います。

ただ、僕個人としては、街の賑わいを象徴するような、例えば年1回の大きなイベントをこの団体で主催するというのもなんか違っていると感じています。

で、今回僕らがやってきていることを、改めて見つめてみると、僕らの飲み会の延長にあることな気がしてくるわけです。

その飲み会と言えば、それぞれ作りたいものを勝手に持ってきて、キッチンで調理して、みんなでうまいねーって言って食べて飲む。そして、その中での会話には、「こんなことやってみたいんだよね」「これ必要だとおもうんだよね」みたいなのがあって、じゃあ次やってみようか、というノリで次につながっていく。

多分これを、もう少し地域に開いてやり続けることが、僕らのやりたいことに繋がっていくような気がするわけです。

たまたま今回発足時に居合わせたメンバーは、各々軸をもって、本人が「ニヤリ」とできるコトを今までも世に生み出してきています。そして今後、それぞれのタイミングで、それを少し地域へ開いて表現し、その時一緒にできるメンバーが盛り上げたらどうなるか。

メンバーそれぞれがそれぞれの繋がりを持っているから、きっとそこではコミュニティのクロスが起きるはずで、きっとその表現に感化される人が現れる。そして、その人の「これやりたい」にスイッチが入って、今度はその人をかつぎ上げる、というような流れが出てくると思うのです。(事実いくつか芽が出てきてもいます。)

そして、担がれる人は多い方が多様性という意味でも良いと思うし、そのグラデーションのおかげで地域の「日常」が華やかになる。何より、やりたいことをやる人が増えることは、僕にとって最も喜ばしいことでもあります。

コミュニティがクロスする効果

と、ここまで書いてきて、「あぁそうか、コミュニティ‪の掛け算だ」と不意に思うわけです。そうだ、ここ数年ずっと僕がこうなったら良いなと思っていた事が、実は今までそれぞれ道を歩んできた親しい仲間と、自然発生的にスタートしていたんだ、と。

ひとつの場のみで起こすコワーキングと、複数の場がクロスして起こすコワーキング。どちらが大きなうねりを誘発するかは、火を見るよりも明らかで。

おそらく、1回1回のコトのインパクトは小さいかもしれない。でも、年1回の大きなインパクトのある催しも良いけど、それだけでは無い小さな楽しみが、消費も生産も有機化して、連続してたくさんある日常。僕はそれを創ろうとずっと思ってやってきているし、きっと、他のメンバーも、同じようなことを考えている面があるのではないかと思う。

この、小さな、けれど、それぞれの意思のこもったコトのつながりは、強い地域の土台になる。そのつながりを生み出すきっかけの一つにRoute39はなってくだろうし、そうなったら、僕としても参加する意義がある。

これは、飛躍的に、思いもよらないコワーキングが、しかもたくさん起きていくぞ。そんな確信が、10年コワーキングをしてきた僕にはあります。

本業のビジネスについては知らないけど、特にこの活動においてのメンバーは強制されることを嫌うから、効率とかスピード感とか再現性といったことは求めても返ってきません。その代わり、メンバーの内発的動機から生まれる一回性のコトが適切なタイミングで生み出されるはずです。

さて、どんなコトがこれから生まれていくのか、これは本当に楽しみでなりません。

いい大人が真剣に看板づくり