2020年、札幌でコワーキングスペース「COCOスペース」をOPENして6年目を迎える。私はスペースオーナー今野純子、道産子育ちである。今回、尾道でコワーキングスペースの勉強会があるという事で、広島まで行ってきた。なぜ北海道から片道7時間もかけて参加したのか?!
それは、神戸で「カフーツ」をしている伊藤さんが主催だったからだ。伊藤さんは日本で初めてコワーキングスペースをOPENした人だ。伊藤さんは誰よりもコワーキングを勉強し、誰よりもコワーキングを愛している人だと思う。時には話が長い校長先生のように、何時間でも話してしまう事がある。
だがそれは、コワーキングの中で起きる化学反応や、たまたまという運命の出会いの面白さを分かってもらう為でもある。そんな伊藤さんが企画した尾道での1回目の勉強会。伊藤さんに「7時間なんてすぐすぐ」と言われ、広島空港行きのチケットを「ポチッ」とした。
尾道駅に着くと、直ぐに商店街のアーケードの入り口がある。入り口手前には、鮮やかなピンクで電光された桜の木のモチーフが何本もあり美しい。商店街に入ると、レトロモダンな建物がずらっと続き、端まで歩くと20分強はかかる。でもcaféや古本屋、雑貨などを見ているだけでも楽しく、ワクワクとする商店街だ。その商店街を抜けた、静かな通りに「コワーキング&コミュニティハブbench!」はあった。

「コワーキング&コミュニティハブbench!」外観
今回の勉強会は、ここを切り盛りする後藤さんの運営を教えてもらう。後藤さんは2016年に京都から尾道へ引っ越してきた移住者だ。そして、尾道の駅近くにある「ONOMICHI SHARE」というコワーキングスペースでのマネージャーを8年間務めた。その後、そこでは出来なかった後藤さんのやりたい事が出来る場所、「bench!」を昨年OPENした。

尾道で初開催になる「トーキング・コワーキング・スタディツアー」は2日間の行程だ。参加者は3名で、それに後藤さん、伊藤さんの、合計5名で行った。2日目にはゲストスピーカーがおふたり参加された。

2日間とも時間オーバーになるほど熱く、濃い内容だったことは間違いない。濃いと言えば、2日間特別に出してもらった「つげ」の珈琲は、香り豊かで香ばしく、ここでの特別感を味わえた。
私が勉強会を受けて一番の気づきは、後藤さんの姿勢だった。後藤さんの考えの中心は、 ”この町に何が出来るか” ”どうしたらよくなるか” そこが芯になっている。
通常のイベントをする時には、ビジネスの活動を広めたい、利益を出したいということが中心に企画することが多い。
でも、この地域に何が出来るのかと視点が変わると、これをしたら皆が喜んでくれるかも、成長できるかも、地域課題に少しでも切り込みを入れれるかもと、考えただけでワクワクしてきた。この違いは大きいと感じる。
そして、その想いを形にしていく為には後藤さんの人脈があった。

それは、日々の対話だったり、頼まれたらできる限りのことを提供するという人助けの精神が、色々な人を惹きつけ、お金では出来ない後藤さんと住民とのつながりを作っていったのだと感じた。
キャリアコンサルタントでもある後藤さんは、聞き上手なのは間違いないが、人が気づかない視点をもっている。また、なによりも物腰が柔らかい。話していて心地が良いと感じるのはコミュマネに必要な要素だと思う。
何故かというと、何かあった時に「後藤さんに聞いてみよう!」と、思えるからだ。そして、そういう人には人も紹介しやすい。
今回の勉強会で出会ったコワーカーさんがこう言っていた。
「後藤さんは自分と違う視点で意見をくれる、そして言いづらい事も伝えてくれる、そういう人は中々いない」
もちろん、コワーカーさんとの関係が構築出来ているからだと思うが、地域に後藤さんが居るのはとても心強いだろう。

そして、尾道という地域が持つリソースは素晴らしい。文化、伝統が色濃く残るまちだ。
その一つに尾道で有名な「千光寺」がある。そこに行くまでは歩いて40分ほどかかる。「千光寺」の周りの建物の修繕は、崖の上にある為車が入れず、材料を手で運ばなければいけない。デジタルが急速に進む中で、昔ながらの知恵と仕事がここにある。それは町の文化と風景を守るために、手間を惜しんで注ぐ時間である。
それは町の文化と風景を守るために、手間を惜しんで注ぐ時間である。

千光寺へ登る石段途中からの景色
後藤さんが時間をかけてしてきた、人と人とのつながり、コーディネーターの仕事は、毎日を大切に紡ぐまちに、ぴったりと息があっていると思う。そして商店街の人に慕われ、頼りにされる存在として、町に必要とされているのだ。
「bench!」の後藤さんはそんな人だった。

最後に・・・
コワーキングをする場所は小さな箱でしかない。でもそこを飛び出し、地域や社会でのコワーキングは無限大に広がる。今回の勉強会は、これからの考え方の可能性を広げてくれた。
後藤さんは出来そうにない事でも「どうしたら出来るか」考えていくという。そこにも気づかされ、考えただけでワクワクしてじっとしていられない。
私を夢中にさせてくれるコワーキングに出会えたことは最大の喜びだ。
この経験を得るためには、最初に伊藤さんが言う通り、片道7時間はあっという間だった。

bench!向かえにある「鉄板焼居酒屋 千」での懇親会の1枚
左から伊藤さん、後藤さん、今野、東本さん、苔山さん